Sさんのお母さんにもインタビューさせていただき、息子の自立生活に対する親御さんの様々な想いを聞かせてもらいました。素敵なお話を聞くことができました。
母…Sさんのお母さん 代…いろは代表 Y…インタビュアー
Y)まずは息子さんが自立して1か月経った今の率直な気持ちはどうですか?
母)慣れてきました。最初1週間くらいは、いないのが不思議で。いつも横にいたので。ご飯食べる時はすごく寂しくていつも泣いてました。なぜか涙がでてきて。食べさせる人が居ないのが寂しくて。最初のころはSの話をするだけで涙が出てきちゃって。今は止まりました。
Y)Sさんの学生時代は、お母さんの中でどのような不安がありましたか?
母)卒業したらどうしようっていうのがあった。施設に入れっぱなしというのが嫌で。本人も嫌がっていたし。かといってずっと家にいても私何もしてあげられないし。本当に「どうしよう」しかなかった。
Y)初めて自立生活センターいろはを知った時のことは覚えていますか?
母)高校2年の時の担任が親身になってくれる先生で、「施設に預けるのは可哀想」と言ってすごく調べてくれた。そこでいろはの事を教えてくれて見学に行ったのがスタートですね。
Y)初めていろはに行った時はどう思いましたか?
母)なんか楽しそう。介助者のみなさんが私服で、お兄さんお姉さんみたいな感じで、ここいいなと思いました。縛られてないなっていうのがすごいあって。本人にもいいなって思ったし、本人も最初から気に入っちゃって。
Y)これまでの生活で大変だったことはなんですか?
母)大変だったことはないかな。今思えばもっとやってあげられたんじゃないかという思いしかない。特別扱いしないで兄弟三人同じような接し方しかしてなかったので。他のお母さんには「もうちょっとやってあげた方がいいんじゃない」とか言われたこともあったけど、ウチはウチのシステムでやってた。障害者だからとは思わなかった。ただ、本人が人間関係で揉めてしまっているときは、どこまで自分が口を出したらいいかも分からなくて。あの時はどうしたらいいか分からなかったですね。
代)いろはと出会ってからの7年間で成長したと思うところはありますか?
母)自立する時にお小遣いを貰ったことに対して、本人から初めておばあちゃん家に電話したみたいで。「俺、〇月〇日から自立して、お小遣いありがとう。じいちゃんのお墓参りとかできてないから、代わりにお線香あげてお礼を言っといて」って電話が来たっておばあちゃんが泣いてて。「こんなに立派になってると思わなかった」って。「昔は(言語障害)でなんて言ってるか分かんない時もあったけど、ハッキリ分かった。」って。
代)ヘルパーと1対1で付き合っているから、言葉の数も増えていきますよね?
母)そうですね。家だと阿吽の呼吸でわかるので、言葉を最後まで聞かない事が多かったから、喋る機会も少なかったのかなって思いますね。
Y)一人暮らしに対してはどんな不安がありましたか?
母)障害を持っているのにどうやって一人暮らしするのか分からなかったけど、ヘルパーについての話とかを聞いて「そうなんだー」って。ヘルパーって決まったことしかやらないっていうイメージだったけど、それとは違って自分のやりたい事を一緒に手伝ってくれる方なんだなって思いました。高校卒業してからは、いろはと施設と半々だったんですけど、施設に行っている間にできなくなっちゃう事が多くて。トイレとかも気を遣って我慢して、オムツにしてたりして、家に帰ってきてもつまらなそうにしてて。本人も行きたくないって言うので、いろはさんにお願いしました。精神的にもできない事が多くてつまらなかったんだろうし、あのままだともっと悪い方向に行っていたんじゃないかなと思いますね。いろはに
来て我慢する事が減ったなって思いますね。
Y)Sさんが自立に向けて進む中で、お母さんの気持ちはどう変化していきましたか?
母)自立していくんだなと思いましたね。私が面倒見る分にはいいけど、兄弟には負担をかけたくなかったんです。それぞれで別々にやってほしかったので。そこをどうするかってなると自立してもらうのが1番だし、自立できないなら私が面倒見られなくなったら施設に入れるしかないって考えてました。
Y)将来、一人暮らしできると感じた瞬間はありましたか?
母)できそうなタイミングはあったんですけど、家庭の事情もあり、延びたりもしちゃって。それもあってか、今すごく生き生きしていますね。
Y)自立生活ということを知らない障害者・親御さんが多いなかで、在宅介護を続けている親御さんへ伝えたいことはありますか?
母)あれはできないだろう、これはできないだろうじゃなくて、やればできるっていうのをすごく思いました。とりあえず出来ても出来なくてもやってみること、チャレンジすることが大事なんだなっていうのを教わりましたね。
「うちの子は手が使えないからできないだろう」じゃなくて、手が使えないなら使えないなりに、どうにかしてやれる方法があればなんでもできるって。
代)お父さんとかご兄弟は何か言ってますか?
母)お父さんは毎日「Sから電話あった?」って言ってます。「そんな毎日無いよ」って(笑)
お兄ちゃんは「今度行ってみるかな」って言ってました。お兄ちゃんは遠くにいたんですけど、お兄ちゃんが帰ってきた10日間は3人一緒にいられたのがよかった。自立前に3人の仲良い姿を見られて本当によかったなーって。兄弟3人いてよかったなって実感できる10日間でしたね。急にお兄ちゃんが帰ってきて、Sが急に出て行く感じだったから、そういう縁だったのかなって。なんか引き合わせてくれたのかなって感じちゃう。お兄ちゃんが家を出る時も寂しかったけど、なんかちょっと違うんですよね。常に四六時中いたのでなんかちょっと違うんですよね。
Y)自立生活はあくまでスタートだと思いますが、これから長い自立生活を送っていくSさんに一言をお願いします。
母)いろんなことにチャレンジして、自分らしく成長していって欲しいなと思います。
Sさん、お母さんありがとうございました。
大変なこともあると思いますが、とにかく自立生活を楽しんでくださいね!
そして、これからのSさんの更なる活躍を期待しています!
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