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Hさん自立1周年ご家族インタビュー

◎登場人物(3人)…母)自立生活を実現したHくんのお母さん。

兄)H君のお兄さん。

い)いろはのスタッフ。


い)H君が自立して1年を過ぎましたが…今の率直な気持ちを聞かせてください。

母)自立前に入所していた施設では3人部屋であまりプライバシーのない空間でした。

自立してからは、自分の居場所ができて、プライベートな時間を作れているなと感じています。つい最近、実家に帰って来たときも自分が帰る場所だと思っているとも感じとれました。

兄)Hの生活をどう組み立てていくかという不安はありましたが、介助者と一緒に生活する中で、自分の主張がでるまで見守ってくれる介助者だから、Hらしい生活が上手く出来ていると思う。

い)自立して初日の夜は、どのような気持ちでしたか?

母)どうなるのだろうという気持ちでした。介助者とうまくやっていけるのかという不安と、近所の人への配慮などが出来るのかなという不安もありました。

兄)物件の内見に行った時に、今のアパートをHが気に入っているのが分かったので安心しました。突発的なことがない限り、最初の夜は特に不安には思ってなかった。(笑)

い)自立した初めの頃は、お兄さんから見てお母さんは不安な様子でしたか?

兄)自立した直後というより、施設を出て一人暮らしをさせようと言い始めた時のほうが不安でした。

知的障害者の1人暮らしの想像が出来ませんでした。施設との交渉から始まり、いろはのサポートで体験室の利用が始まって少し不安が和らぎました。さらに体験室が利用出来ない時に、自宅に介助者が入っている様子を実際に見られて安心できたので、漠然とした不安が自然となくなりました。

い)施設から出て地域生活が始まり、良かったなと思う点を教えてください。

兄)施設と比べても自由度が高くなったし、本人に与えられる選択肢も増えたと思う。好きなものを食べる、いつ寝る、いつお風呂に入るなどの、人が生活する上で当たり前にやっていることの選択肢が増えたなと感じる。表情も変わった。たまに怒ることもあるが、基本的にニコニコしている。

い)日中に利用している通所施設での様子はどう思いますか?

母)以前の施設に居た時はやる仕事が限られていた。

通所施設では、可能性を考えてやってくれるから、集中できる作業が見つかり良かったと思う。

兄)個人がやりたいことを探してくれたり、やる気がない時でもそれに合わせてくれたりと、より良い環境で過ごせている気がします。

い)自立した様子を見て、H君の様子に変化はありましたか?

母)生き生きしている。昔は兄が言ったことを絶対的に守る感じがあり、怖い存在という様子でした。例えばアイスを食べる時に自分の分より先に兄の分を持ってくる権力関係でした。(笑)

先日、里帰りした際に、兄が離れると○○、○○と兄の名前を言っていて、信頼関係が築けてきたのかなと思って、母親としては嬉しかったですね。自立生活が始まって介助者との関りの中で変化があり、一年たって自分の中で変わってきた気がしますね。

兄)たくさんの介助者との長い時間と1日過ごして、Hが何とかコミュニケーションをとっているのを見るのは初めてなので、介助者ごとに話しかけ方などが違うので、うまくやっているなと思う。

日々主張しているのかなというのがある。以前は介助者がお風呂を促したりしていたようだったが、途中から自分から主張してリズムをつくっているのが嬉しく感じている。

い)いろはで知的障害者の自立支援を始めて1年が過ぎましたが…感想とかはありますか?

母)Hはあまりコミュニケーションをとるのが得意ではないので、介助者が色々と考えて接してくれているのが嬉しい。Hに合わせてくれているというのが多く感じます。

兄)外出するなども事故などもないし維持してくれている。本人の意思を組みとってくれているのを読み取れる。

家族で暮らしていた時には行けなかった所まで行かせてもらえているから満足している。

家族では分からない事があっても、介助者の目線だからこそ分かる事もある気がしてその点はありがたいです。

い)コロナ禍で外出自粛ですが、H君の生活で不安なことはありませんか?

兄)介助者が気にかけてくれているので、そこまで心配はしていない。でも介助者がたくさんいるので、みんなが気を付けていても感染の可能性はあるから不安はある。もしコロナに感染したら、Hがどういう気持ちなのかと思うとナーバスになる。

介助者がどういう風に思っているのかという不安もあります。

い)コロナが収まったら、これからH君に挑戦して欲しいことはありませんか?

兄)旅行ですかね。シフトの交代でやっているから難しいかもしれないけど遠出してほしいです。

母)ダイエットして欲しいな(笑)。プールとかで運動などをして欲しいです。

い)コロナが収まったら色々なことに挑戦して、新たな発見や体験ができるといいですね。

い)同じような障害者を持つ親や家族に伝えたいことがあればお願いします。

母)自立生活が出来るとは思っていなかったので、入所施設で問題を抱えているお母さんの話を聞くと、こういうやり方もあることを伝えたいですし、重度訪問介護を知らない方もいるんじゃないかなと思います。

先日親の会でお話したときに、信じられないとか、すごいねと言われて、きっと皆さんも悩みを抱えて過ごしていると思うので、一人でも多くの方に分かってもらえると良いかなと思います。

兄)もし入所しているとすれば、相当良い施設もあるかもしれないが、外にだして地域で暮らしたほうがお子さんのためだと思う。

いろいろな事件とかあったりして、施設にいることが安全ということも言えなくなってきたし、今はコロナ禍で施設に居たら面会もできないし、地域で暮らした方が良いと思います。実際に1年たって、施設に居たほうが良かったよねって思ったことは一度もないです。

お子さんと一緒に暮らしていて何かしらトラブルがあったりするのであれば、別々に暮らすというのも良いと思うが、施設ではなくて地域生活で暮らしていくことも検討してほしいなって思います。

重度訪問をもっと世間に認知したいなって思います。Hはいろはと出会って今がありますが、出会わなくても、重度訪問を使って地域に出ることが選択肢として当たり前になってほしい。

地域任せっていう言い方はずうずうしいかもしれないが、それでもいいんだよと言いたい。

い)最後に一言あればお願いします。

母)Hに向けては、元気に過ごせてほしい。病気にならないで、楽しく過ごせて行けたら良いのかなと思いますね。

兄)ありがとうございます。皆さんがすごく考えて支援してくれているのが見えて感謝しています。楽しそうにやっていて良かったなって思います。




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