台湾研修報告
みなさ~ん、こんにちは八木です。5月15日から19日に行った台湾研修のご報告をしたいと思います。
今回の研修は「ADA27 LEAD ON ! Youth Project」というプロジェクトの一環として行われました。「ADA」とはアメリカで1990年7月26日に制定された「障害者差別禁止法」のことです。この法律は障害者自らが勝ち取った世界で初めての障害者差別禁止法です。そして毎年7月には、このADA成立を記念したイベントが開催されており、アメリカ全土からたくさんの障害者と障害者リーダーが一同に集まります。それだけでなく今年は「グローバルILサミット」が開催されます。世界中でIL運動(自立生活運動)を行っている障害者リーダー達が集まる、まさにグローバルなサミットです。この二つに参加し世界中のリーダーと関係を築き、世界中の制度や人権意識を肌で感じることで、日本の障害者運動の未来を担う若手障害者達が大きく成長し、様々なものを吸収し日本に持ち帰ってくることを目的としています。この7月に向けた事前合宿が今回の台湾研修ということです。
初海外ということで準備の段階から不安と期待でソワソワしていました。1日目は移動日で長時間の移動もありホテルに着いた時にはドッと疲れました。ちなみに成田空港から台湾までは飛行機で約3時間半です。台湾に着いてから預けておいた車椅子が1時間近く来ないというプチハプニングはありましたが、無事に着けたので一安心でした。2日目からいよいよ研修がスタートです。会場までは電車での移動でした。台北市内の地下鉄は日本よりもバリアフリー化が進んでいました。電車とホームの間にほとんど隙間がなく、日本のように乗りたい電車の出発10分前までに駅に行き、駅員さんにスロープを用意してもらうこともありません。各駅にエレベーターもあり全くストレスなく電車移動ができました。
研修1日目は最初に今回のプロジェクトの参加者、実行委員、台湾のCILのみなさんで交流を深めるために自己紹介タイムから始まりました。各々名刺交換をしたりして打ち解けていきました。台湾のCILの方とは通訳の人に協力してもらったり、スマホのグーグル翻訳を駆使して会話しました。午後は台湾のCILの方が台湾の障害者運動の歴史や台湾の障害者の現状についての話を聞きました。さまざまな話を聞いてとても勉強になったと同時に、台湾の障害者が非常に厳しい環境で生きているのだなと感じました。障害者年金も少なく生活保護もない、ヘルパーを使える時間も少なく、日本に比べて本当に大変だなと思いました。実際、道には何か安い物を売っている障害者や物乞いをする障害者もいました。その光景はとても衝撃的で、今自分が日本で出来ている安定した生活は当たり前じゃないのだと強く思い知らされました。その後、弁護士の東さんの話を聞きました。アメリカの歴史とともにADAを学ぶことで深く理解することができました。南北戦争から公民権運動、そして障害者運動、ADAと、本当に勉強になりました。アメリカに行く前にこの話を聞くことが出来てよかったです。そして夜は交流会で親睦を深めました。
研修2日目はアメリカでどんなことをしたいかをグループに分かれて話し合いました。アメリカでどんなことを学びたいのか、どこか行きたいところはないかなどなど話しました。学びたいことはもちろんですが、街に出て遊んだりすることで気付くこともあるということで行きたいところも話しました。参加者の方々それぞれADAセンター訪問やインクルーシブ教育について学びたいなどたくさんの意見が出ました。みなさん本当に多くの分野に関心があるんだな・・・と感心しました。自分はまだまだ知らないことも多いですが、興味関心がある分野は全力で勉強して多くのことを吸収してきたいと思います。また知らない分野についても話を聞いて少しでも理解を深められたらと思います。午後は台湾のCILの方による台湾の観光プレゼン大会でした。台湾の観光地や地下鉄、バスなどの説明もしていただきました。その後プレゼンを参考にして3班に分かれてそれぞれの班で次の日の観光プランを考えました。台湾の方からも情報を聞きながら、ガイドブックとにらめっこしながら目的地を決めていきました。
そして研修3日目は台湾観光!前日に決めた班ごとに分かれてそれぞれのプランで台湾を楽しみました。自分の班は電車とバスを使って、世界四大博物館の一つ「国立故宮博物院」という博物館に行ってきました。博物館で歴史に触れたあとは、バスで夜市へ。博物館から夜市へ向かうバスも日本のように事前に連絡をする必要もなく、一台のバスに車椅子が4台乗るという日本ではありえないことも経験できました。バスに乗ってると運転手さんが目的地を訪ねてきたので、夜市に行きたいことを伝えると、なんとバス停でもないのに夜市の近くに降ろしてくれたんです。その直後は優しい運転手だなーと思ったんですが、正直そこまでは求めてないな。という気持ちにもなりました。他にもお客さんが乗っている状況で車椅子だからという理由で過度な特別扱いをされるというのは複雑な気持ちになります。運転手さんがどういう思いでそうしてくれたのかは分かりませんが。さてさて話を戻しましょう。夜市とはナイトマーケットと言われ、たくさんの屋台やお店が所狭しと並ぶ市場のことで、食べ物や洋服やお土産などとにかく様々なお店が密集しています。班のみんなと食事とお酒を楽しみました。台湾名物の臭豆腐の臭さは忘れることが出来ません・・・みなさん台湾に行かれたらぜひ。
そして最終日は台湾研修の振り返りとアメリカに向けての話を聞きました。台湾に来て毎日が初めての体験だらけで充実していて、いい意味で一日一日が長く感じられていましたが、もう最終日か~と終わりに近づくほどに5日間アッという間だったな。と感じていました。本当に楽しい5日間でした。楽しいだけでなく様々な刺激を受け、様々なことを学びました。そして人間的にも少し強くなった気がします。というのもホテルで朝と夜、ベッドから車椅子への移乗をする際につたない英語でフロントに電話をかけ、日本語の通じないホテルのスタッフに何とか説明をし、移乗を手伝ってもらいました。あ~なんとかなるもんだな~と思いました。これも研修でとても印象に残っている事の一つです。
おまけですが、帰りの飛行機の時間を待ちながらお昼ご飯を食べていたら、外人に声をかけられました。話を聞くと南アフリカで車椅子をつくっているとのこと。そのまま30分ぐらいご飯を食べながら雑談。(と言っても英語が分からないので2割ぐらいしか理解できませんでした)こんな思いがけない楽しい出会いも海外ならではで楽しかったです。
長いこと書きましたが、この文章以上に言葉では表せない心と体で感じたものがたくさんあります。全てを含めてとてもいい経験になった台湾研修でした。アメリカも頑張るぞーーー!!